Episode 16 お叱り

まだバスが来ない、とアプリで見られるバスのGPSを見たとき驚いた、


もうバスが通っていたのだ。


なぜ、と道路の反対側の女性が歩道で手を挙げてバスを停めているのを見た。


確信した。手を挙げないとバスが止まってくれないことに、

内心「普通バス停で待っていたら、気づくだろ!」と思ったのだが、

後日、学生やご老人達がバス停のベンチに座って雑談していた。

そういうことかと後になって思ったが、

当時は少しパニックになった。


次のバスを待つしかないと切り替えて


次のバスはいつだろうと携帯で確認しているとちょうどカーブで見通しの悪い一本道から

ふいにバスが出てきたので慌てて手を挙げる。

バスが停まった、


「やっとだ」


と席につこうとしたときに白人のやたらとでかいバスの運転手に

「おい待て、そこの坊主」と声をかけられた


なんだなんだととりあえず黙って話を聞くと

「たくさん客を乗せてるんだ、いきなり停まってと手を挙げられて急ブレーキするとみんな危ないだろう」とかっこいい感じにお叱りをもらった。


内心は「いや、このカーブ全然先見えないし、あんたも予測して運転してくれよ」とおもったが


2日目からこんなに戦っても仕方ないな、と思ったので

「確かにそうだね、次から気をつけます」としぶしぶ学生達の間を通りすぎ席に着いた。